犬と猫の腸内トラブルで増える細菌/減る細菌

犬と猫の腸内トラブルで増える細菌/減る細菌

腸内で異変が起きた時、増えている細菌と減っている細菌が存在します。

ただし、増えているから原因、と考えるのは早計かもしれません。

今回はそうした中から1つの事例を(ある程度簡略化して)ご紹介します。

歯周病菌の毒素で増えた?

歯周病菌の中でも、悪影響の強さで名高い「P.ジンジバリス」という細菌が存在します。

この細菌が体内に入る事による影響を調べた研究では、肝臓疾患の悪化や、インスリンが効きにくくなる、などの症状が確認されています。

この時、腸内では「サテレラ属」や「ビロフィラ属」といった、素行の良くない細菌グループの増加が確認されました。

悪事に便乗したような、分かりやすい話です。

ところが、同時に「ロイテリ菌」や「L.ジョンソニー」といった有益な乳酸菌たちも増加していました。

これは何を意味するのでしょうか?

(注:かなり簡略化して書いています)

関連商品:歯周病菌とたたかう「Oral乳酸菌」

関連記事:偉大な味方か?それとも..?アッカーマンシア属の話

治安部隊の出動かもしれない

細菌たちは競合しあっています。

Aという細菌の登場によって、それを迎撃するBという細菌が増加するような事例はしばしば見られます。

「ロイテリ菌」は、口腔内では「P.ジンジバリス」を抑制する存在(天敵)です。腸内においても「防衛のために増加した」可能性はあります。

「ロイテリ菌」はインスリンの感受性を増加させるという報告もあり、「P.ジンジバリス」とは対極にあります。

「L.ジョンソニー」も1型糖尿病の発症を遅らせるなど、インスリン感受性に好影響を与える可能性がある存在です。

関連商品:23種の乳酸菌「ラクトマン」

関連記事:犬と猫にきかない乳酸菌の話

腫瘍と腸内細菌

上記の研究で増加した細菌種の中には、「F.ロデンティウム」という細菌も含まれます。

これが何を意味するのかは明快な結論は得られていません。

Foremaでの解析実例においては、腫瘍マーカーとなる細菌たちの増加と足並みを揃えるように「F.ロデンティウム」も増加するパターンが頻繁に見られます。

ここだけをみると、「F.ロデンティウム」も腫瘍形成に加担する悪役に見えます。

が、世にある研究においては、この細菌はむしろ「腫瘍形成の抑制」が報告されています。

あくまで断片からの推測でしかありませんが、「F.ロデンティウム」も、迎撃/治安悪化の対策のために増加している可能性があります。

関連記事:犬と猫の腸内細菌,そして悪性腫瘍の話

別の側面もあり..?

同じく上記の研究においては、「エリュシペロトリクス科」の細菌も増加が確認されています。

このグループには良し悪しありますが、「ロイテリ菌」との組み合わせで多発性硬化症を悪化させるという報告があります。

邪推の域ではありますが、間接的影響の連鎖を考えればこれも「P.ジンジバリス」の悪影響の1つとも言えるのかもしれません。(P.ジンジバリスが結果的に多発性硬化症を悪化させる??)

ともあれ、細菌たちの世界は複雑かつ深遠です。1つの出来事に、さまざまな別要因が関わっているという事を理解する必要がありそうです。

関連商品:犬と猫の腸内フローラ解析「byOm(バイオーム)」

関連記事:犬と猫の腸内フローラ解析リリース

ブログに戻る

腸内細菌解析 一覧

1 4

腸内細菌ケアサプリ

腸内細菌から健康課題に取り組む、成分を厳選したオリジナルサプリです。愛犬/愛猫用の乳酸菌サプリやオリゴ糖類を主軸としたプレバイオティクスサプリなど、自社ラボでの細菌研究に基づいた腸内ケアサプリをお届けします。
1 4